相続税を上げて高齢者の消費を拡大するという話

少子化対策が日本をダメにする 和田秀樹 読みました
『出来のいい人間はどんなに給料が高くても株主は歓迎するが、出来の悪い人間を置いておくだけで株主に責められる時代が来た、社長が温情をかけようとすれば、株主に訴えられかねないのだ』
『フランスは子供を産む世帯に手厚い経済的援助をし、少子化をストップさせた。しかし国力はまったく回復していない。それどころか、低所得者層がホームレス化し、雇用制作に反対する暴動も多発している。一方、子供の少ない北欧では、親が教育に力を入れ、一人ひとりの子供にしっかり勉強させて、教育レベルを飛躍的に上げている。子供の数が少ない分、質を上げることを重視して、非常に上手く行っている』
『手塩にかけてわが子を育てていこうとする中国の親達は、子供においしい食べ物を与え、綺麗な服を着せ、可能な限りの贅沢をさせた。その様子は「小皇帝」と揶揄され、親の過保護によって、自主性に欠け、自己中心的でわがままな大人に成長するという見方もあったが、それは、見事に覆されたのである。そのことは、最近の中国の隆盛を見ても明らかだろう』
『実際のところ、フリーターやニートといわれる人達の多くは、国民年金も税金も払わないから、いくら人数が増えようが、社会保証を支える分母にはなってくれない。また、年収300万の人から税金を仮に三割、四割とったとしても、取れる金額の総額は基本的に少ないことには変わりが無い。そう考えれば、働き手の数さえ増えればいいという問題ではないことがわかるだろう。高齢社会を支える担い手というならば、単に子供の数を増やすことよりも、生産性の高い、有能な子供を少しでも多く育てることが求められるわけだ』
『高い学力を誇るフィンランドにしても東アジアの国々にしても、勉強の出来る人間は素直に尊敬されるという価値観があり、勉強が出来ることへの憧れもある。そして、フィンランドには日本のバラエティ番組に相当する番組は存在しないそうだ。ところが、日本ではルックスだけがとりえと言ったタレントの方がいまだに人気が高く、テレビ番組では能天気なバラエティ番組ばかりである。無教養をさらけ出して笑いを取るような、バカを売り物にするタレントも多い。これではメディアがこぞって「勉強しても無駄」という価値観を刷り込んでいるようなものである。勉強ができる人、勉強が出来るコトに憧れる子供が増えなくて当然だ』
『高い技能を持った優秀な人材の不足を憂える声は聞こえても、単純労働の人手不足は意外に聞かれず、人手不足になっているとは考えにくい。ましてや二十年後の社会では、いま人間がしている仕事も機械がやってしまうのだから、人間は、ロボットにはできず、しかも競争力のある技能性・専門性を持った職業に就かねばならない』
『生産性を上げるために、富める者がもっと富み、貧しき者が余計に貧しくなるシステムではなく、安心してお金が使え、どんな人間でもレベルの高い教育が受けられる社会システムこそが、北欧諸国の成功例からしても、しかるべき選択といえる』
『今の日本に本当に必要なのは、少子化を防ぐことではなく、少子化という現実を受け入れて、「量」に頼ることをやめて「質」を高める、「少子化を生かす」対策だ』