やばいよやばいよ

正義で地球は救えない 池田清彦+養老孟司 読んでます
洞爺湖サミットは、何百億円もの税金を使って日本中から警察官とパトカーをかき集め、大量のCO2を撒き散らして終わった。CO2の排出削減については、実質的には何も決まらなかった。』
『今すぐCO2を削減しなければ、人類は大変なことになる、といった短兵急な話は、今すぐお金を振り込んでいただかなければ、御主人は犯罪者になってしまいますよ、といった振り込め詐欺と同じようなものだと思って間違いない。恐怖心を煽るのは他人を騙す際の常套手段である。』
『あるタイプの前立腺がんは手術も何もしないで、様子をみるのが最善だそうだが、これでは医者は儲からない。儲けたい医者は手術を勧めるだろう。京都議定書を守って、CO2の削減に莫大な税金を注ぎ込んでも、温暖化を止めるための貢献度はほぼゼロに等しい。しかし税金は誰かのふところに入るわけだから、特定の人だけは儲かる。そう考えればCO2削減キャンペーンは誰かの金儲けのための策略に決まっている。誰かとは、排出権取引で儲けたいトレーダー、脱炭素利権に群がる官僚、学者、企業などである。』
『本当の危機が来れば、偽問題の化けの皮がはがれてしまう。洞爺湖サミットでCO2の削減などという瑣末な問題にかまけているヒマはないことが、自明になったからである。』
『石油は早ければあと十数年でピークアウトするという。それまでに有効な代替エネルギー源を立ち上げられると、人類はかなり悲惨なことになりそうだ。温暖化しても人は死なないが、エネルギーがなければ人は生きられない』
『太陽光は空から降ってくるが、太陽光発電所は空から降ってくるわけではない。石油を使って造るほかはない。二十一世紀の覇権を握るのは、石油があるうちこれをどんどん使って、代替エネルギーのインフラ整備を進めることができた国なのだ。多くの国のまともな政治家は、そのことをよく理解しているはずだ。CO2の削減こそ正義などと心底思っているのは、ノーテンキな日本の政治家だけである。』
『レジ袋は、レジ袋の材料に用いられなければ廃棄されるしか無いような低劣な石油から作られている。タダ同然の廃油から作られているからレジ袋はタダなのだ。上質な材料からつくられるエコバッグよりレジ袋を使うほうが資源の有効活用になっているのである』
『指定ゴミ袋こそムダの最たるものだ。ただ燃やされる目的のためにわざわざ良質の石油からつくられている袋こそがもったいない。タダ同然の資源からつくられるタダのレジ袋を買い物袋として使い、そのままゴミ袋としても使えるようにしたほうが、ずっと効率が良いはずである。』
『電気自動車はたしかに走行中はCO2を排出しないかもしれないが、車を走行させる電気はいったいどうやってつくられているのか。化石燃料を使った火力発電所でつくられている電力を動力にして電気自動車を走らせていたら、それでCO2排出量が減るわけが無い。そもそも、その電気自動車の製造に使われる鋼板はどれぐらいの化石燃料を使って生産されたのか。鉄鉱石をはじめとする自動車部品の原材料の生産過程で化石燃料がどれぐらい使われているのか。エコカーの開発・製品化や製品の流通過程で消費される化石エエネルギーの量はどれぐらいなのか。そのようなことを「エコカーはCO2を排出しないから環境に良い」と言って推奨している人はまったく考えていないのだろう』
『「私たちがCO2排出を止めなければ、地球は大変なことになる」などということを喋り続けるテレビのニュースキャスターは、自身が本気でそう考えているのなら、テレビ放送をやめたらいい。そうすればCO2排出量は少し減る。そうしようとしないのは、本気ではないからであろう』