どうなる??

学歴社会の法則〜教育を経済学から見直す〜 荒井一博 読みました
『資本市場が完全な時は、貧乏人の子供も辛いアルバイトをすることなく、金持ちの子供と同じ条件で教育投資をすることが出来ます。そのためスペンスの理論のように、生産能力が同一の個人は同一の教育費用に直面し、同じような投資行動をするとみなすことが出来るのです。スペンス理論は「同能力同費用」を仮定しているのです』
『大卒学歴は親の富裕度を示すシグナルになるのです。そして、富裕な家庭の出身者は平均的に高能力であると企業は考えて、大卒者に高賃金を支給することになります』
『どれほど能力がある個人でも、特定の大学の卒業生でなければその同窓会のメンバーと同様な人間関係を形成することは不可能です。そのため、欲しい情報が手に入らなかったり、希望する協力や推薦を取り付けることが出来なかったりします』
『母親の学歴が高いと、それに相対的に影響されて、男の子も女の子も高い学歴を得るようになります』
『大学が日本全体にある程度均等に分布している場合よりも、大都市に集中している場合の方が、女子の進学率は低くなるのです』
『英語自身のなかにもJapaneseのような日本人蔑視の単語があります(語尾がeseとなる英語の民族名は蔑視の表現です)。日本人が英語を学ぶということは、
蔑視を含意する単語で自分自身を呼ぶことも含むのです』
中等教育以下で難問奇問を解かせることは、数学嫌いを増産するだけで、よい効果がありません。難問の解答を学ぶくらいならば、その時間を他の科目を広く学ぶことに費やすべきです』
『数学を勉強するとどういうことが可能になるのか、どういうところに数学の面白さがあるのか、偉大な業績を達成した人はどのように数学を学んだのかなどを教師が頻繁に教える必要があります』
『日本の多くの大学が入試科目から数学を除外してしまったことは、甚大な国家的損失といえるでしょう』
NHKテレビのニュースには深刻な問題があります。一回のニュースで数人の人がかわるがわる英語を話しますが、その中に英語の上手でない日本人が多く混じっていることです。彼女らの英語を聞いても、まったく聞き取りの練習になりません。また、良く無い発音が頭の中に残って好ましくありません』
『突如として小学校に英語教育を導入すると、英語教育の訓練を受けていない教師が英語を教えることになります。彼女らは極めて高い確率で間違った英語を小学生に教えるでしょう。正確な発音を教えることは期待できません。誤った表現を教えることになります。誤って教えられた英語を中学校で矯正することは極めて困難です。大多数の中学校教師は、生徒一人ひとりの誤った発音など矯正しないでしょう。すると、日本人の英語は今まで以上にカタカナ英語になってしまいます。それだけでなく、小学校教師の教えたことが中学校教師の教えることと異なれば、生徒は教師に不信感を抱くようになるはずです』
『江戸時代の教育制度をみても、何年か前まで国際学力テストで日本がトップを維持していたことをみても、日本人が歴史的に教育を大変重視してきたことがわかります。にもかかわらず今日の生徒の学力は低下し、産業の国際競争力も弱くなってしまいました。外国に行っても、日本を褒めてくれる人に逢うことは稀です。むしろ日本が上手く行っていないことが世界で話題になっています』