満州国皇帝の妻の生涯

我が名はエリザベス 入江曜子 読みました 1800
『そのあたりは明、清二代にわたる財宝のうちでもとくに貴重な品を収蔵してある場所であったこと、しかも羅振玉らが調査に着手する直前であったことなどから、宦官たちが大掛かりな窃盗を隠蔽するためにした放火ではないか、とは誰もが感じたことであった。』
『「ばかな。でももしそうなら、あなたも同じよ」
「わたしは側妃ですもの。皇后じゃありませんもの。たぶんわたしは、首を斬りおとされるわ」
「同じではありませんか」
「同じじゃありません。わたしはきっとあなたのむごたらしい死にざまをみて、側妃であったことを幸せだった、と思って死ねます」』