警察・司法当局のずさんな実態を告発する

死因究明 葬られた真実 柳原三佳 読みました 1400
『警察で調べたものを極秘にし、知らせないというのは、日本特有の長年のしきたりではないかと思います。しかし第三者が見られないような法律はダメです。』
『警察は「酔っ払い」と間違えて救護措置を怠った自分たちの失態を隠すために、被害者の死因まで塗り替えてしまったということになる。そして、その背景には、警察の頼みごとを何でもきいてくれる、便利な監察医との「癒着」があった』
『正確な死因というのは、解剖を行い、さまざまな検査をしなければ絶対にわかりません。外見にまったく傷がなくても内臓に致命傷を負っていることはいくらでもあります。つまり、科学的には外表検査だけで犯罪性を疑うことは不可能なのです』
『日本は、目撃者がいない、争った形跡がない、自白する者がいない、など、死体の発見状況に明らかな犯罪者がいない場合は、まず解剖には回されず、毒物検査もなしに火葬される。火葬されてしまったら最後、科学的な真実究明は不可能だ』
『欧州事情に詳しい法医学者によると、留置所の中で死亡した人を解剖しない国は、おそらく先進国のなかでも日本だけだという』
石垣島で新婚旅行中の妻が殺害された事件(トリカブト)は、2件目で発覚。このケースは、解剖を担当した医師が気を回して被害者の血液を保管していたことが立件につながった。和歌山の毒物カレー事件(ヒ素)、本庄の保険金殺人事件(トリカブト)、夫と次男を相次いで水死させた佐賀・長崎連続保険金殺人(睡眠薬)なども、一人目の検視時にいち早く薬物スクリーニングが行われていれば、複数の被害者を出さずにすんだ可能性が高いといえる』
『腹を蹴られて死んだケースでも、腹部に外傷を残さずに死ぬことがありますし、頭蓋内出血なども本来はCTを撮るか、解剖しなければ判断は出来ないのですが、そのような可能性がある場合でも、現場と関係者の供述で異常がないときには、警察は医師に対して「犯罪性はないのであとはなんとかよろしく」と言ってきます。こちらはCT検査などしたくても、費用がなくてできないので、仕方なく「死因不明」とすると、あとで警察から電話がかかってきて、「これでは困る」などと言われ、結局もっとも問題のない「心筋梗塞」と書かざるを得ないのでしょう。おそらく、検案に携わる多くの医師が、きちんとした医学的検査もせずに、面倒な警察処理を要さない方向へうまく誘導され、検案書を書かされているのが実情だと思いますね』
『死体検案を終えた警察医が私のところに近寄ってきて、いきなりこう言うのです。「このあいだのホトケ、急性心不全にしといてやったからな」』
『同じ関東エリアでも、東京23区内で死ねば20万円コースの解剖で、なぜか江戸川の東側や多摩川の西側で死ねば7万円コースの解剖になるわけだが、そもそも、日本国内でこのような格差があること自体不自然だ。』