不安社会が来る

アメリカ型不安社会でいいのか 橘木俊詔 読みました
『自立心を尊び、リスクに賭けることを厭わず、競争をこよなく愛し、努力する人に報いる精神が強いアメリカ人の国民性が、勝者の高い所得を容認するのである。逆に、他者への依存心が強く、リスクに賭けない安定志向で、努力しない人の所得は、低くてもかまわない、という合意がアメリカ人にある、これらがアメリカの貧富の格差が先進諸国の中でもっとも大きい理由となっている』
『貧富の格差の大きいことにはデメリットもある。例えば、敗者がますます勤労意欲を失うかもしれないし、勝者への嫉妬が高じると犯罪数が増加する、高所得者の過剰な消費は限りある天然資源を無駄に使う可能性がある等々である』
『最近の日本の一部に拝金主義の風潮がみられる。凡人に正等的な清貧の生活を強要するとは不可能である、しかしながら「清貧の思想」が古来からの日本人に心に根ざした文化だと理解するので、贅沢で奢侈な消費を求めるような、モノとカネの欲にとらわれた生活を送ることは避けた方がよい』
『現今大学生の学力不足が社会問題になっている。ゆとり教育が行き渡ったので、学生が勉強しなくなった、というのがその根拠とされる。しかし、大学生の数が増加すれば、大学生の平均的学力の低下は、いわば当然の帰結なので悩むにおよばない。むしろ、質の高いとされる大学に在籍する学生の学力が低下していることが、問題になっているのである』