貧困層は住民票が無く得票に繋がらないから政治家が救済しないとか・

「生きづらさ」について 貧困、アイデンティティナショナリズム 雨宮処凛 菅野稔人 読みました
『で、「自分はこんなに切った」と手首の傷を見せ合ったり、「自分は何百錠もオーバードーズして、何日間も閉鎖病棟に入っていた」とか、なんだか生きづらさや病気の深刻さを競いあうようになったりして、不幸が自分の全実在みたいになっていくんです。毎日ネットで「今日はこれだけ切った」とか、「これだけ飲んだ」という写真をアップしているうちに、注目されてたいのか反応が欲しいのか、どんどんエスカレートしてしまうんですよ。エスカレートすればするほどみんなに心配してもらえるので。でも、エスカレートしていくと、そのうちまわりの空気も「この人そろそろ死ぬんじゃないかな」となり、もっとエスカレートすると「この人そろそろ死なないのかな」という雰囲気になってくるんです』
『親の虐待を受けていたりする人というのは、苦しさの理由がまだわかりやすい、ということがあります。何が原因かわかるので、本人も周りも了解しやすい。でも、普通の家庭で育って、学校にも普通に通っていて、とくに何か目に見えて問題があるわけでもないのに、なぜか異常に苦しいという人は、とても難しい。でも、実はそういう人のほうが多数派だと思います。』
『仕事が原因で鬱病になった人が社会復帰するのもすごく大変です。鬱病で会社をやめて、しばらく休んで治ったとしても、鬱病歴があるといったら雇ってくれない。鬱病を隠して正社員として就職できても、また長時間労働鬱病になってしまう。そんなふうに一度つまづいてしまったがために社会に戻れない人からの相談がよくあります。そうい人たちに対する「排除」のメッセージってすごく強いんですよ。先日、企業のメンタルヘルス問題に詳しいという偉いお医者さんに会いました。その人も、鬱病は企業の大きな負担になるから企業が排除するのは当然だろう、日本全体で何億、何兆円の損害になる、というようなことをいっていました。』
『何もわかってないんですよね。いじめは、子供や若者たちのコミュニケーション能力が下がって、人間関係が希薄になったから起こっているのではありません。逆に、コミュニケーション能力がここまで要求されて、何らかの緊張緩和がなされないと場を維持することが出来ないから起こっている。そこで実践されているのは、空気を読んで、相手の出方を先回りし、まわりに配慮しながら場を壊さないようにする、という高度なコミュニケーションです。』
『ル・ペンは実際にテレビなんかで「移民は生活保護が欲しくてフランスにきているだけだ、だから出て行け」というような主張をしていました。で、それを誰が支持しているのかというと、実は貧困層なんですよ』
『95年に「新時代の日本的経営』」という、意図的に不安定層、貧困層を増やそうとする報告書が日経連から出されます。働く人が勝手に三つのカテゴリーに分けられたんですね。正社員で幹部候補の「長期蓄積能力活用型」、超スペシャリストである「高度専門能力活用型」、そして、激安の使い捨て労働力としての「雇用柔軟型」の三つです』
『外国人研修生って、労働者ではないという法的位置づけだから、労働基準法が適用されないんですよね。つまり法の外で働かされる』
『今この国には「否定する言葉」は溢れていますが「肯定する」言葉はあまりにも少ない。そこで多くの人が傷つき、疲弊している。そんななか、「日本全肯定」の靖国が表れた、という図式とし見ることも出来るかもしれません』
エム・クルーの社長は、ホームレスの経験があって、そこから起業して「成功」した人ですよね。「ぼく、路上系社長」という本を出しています。なのに、ホームレスになりかけている人たちから、お金を吸い上げている。年商がなんと七億円だそうです。それだけ不安定な人がいるんだなと驚きますよね。そういう人たちを、アパートが借りられない程度に、そして死なない程度に働かせて搾り取るわけです』