28年前の酒鬼薔薇

心にナイフをしのばせて 奥野修司 読みました
『それにしても、少年法に「少年の健全な育成を期し」と謳いながら、犯罪を犯した少年が少年院を出たあと「更正」したかどうかといった長期追跡調査がなされていないというのも不思議な話である』
『少年院では六法関係の本を取り寄せ、法律の勉強をしていると聞いた。なんでも自分のやったことを正当化したいと必死に勉強しているという話だったが』
『わたしは今、精神病院で働いています。なぜだかわかりますか?兄をあんな目に遭わせたAのことをもっと知りたいと思ったからなの。わたしが働いている病院の患者さんを見ていると、ものの考え方が自己中心的で、自分が常に正しく、自分以外はすべて間違っていると信じている患者さんが多い。その認識が破綻するとキレるんだけれど、そのキレ方が異常なの。Aもそうじゃなかったんですか?キレた時に、一番弱いやつを殺っちゃった。それがお兄ちゃんじゃなかったんですか?』
『2004年度で、日本政府が犯罪加害者の更正にかける支出は年間466億円。これでも他の先進諸国に比べたら少ないと言われるが、被害者のための予算が年間わずか11億円と聞けば、いかにこの数字がいびつかがわかる。』
『莫大な予算を組み、加害者の人権にはきめ細かく配慮しながら、被害者の遺族には何のケアもせず、さらに彼らを癒そうとする手立てすら持たないというのは、どう考えても納得できない。配慮すべきは、理不尽な手段でわが子の命を奪われた親達の無念や悲しみを癒すことであり、少年法が問われるとすれば、この一点にこそあるのではないかと思う』
『一人の命を奪った少年が、国家から無償の教育を受け、少年院を退院したあとも最高学府にはいって人もうらやむ弁護師になった。一方のわが子を奪われた母親は、今や年金生活でかろうじてその日暮らしをしている。にもかかわらず、弁護師になったAは慰謝料すら払わず、平然としているのだ』