なにゆえ龍馬が美化されているのか?ということなんデス

勝ち組が消した開国の真実 鈴木荘一 読みました
『しかし、坂本龍馬亀山社中実際に行ったことは、開港場以外での貿易も幕府幕府以外の無届け武器輸入も禁止した通商条約に違反する「密貿易という違法行為」である。むしろ有体に言えば、長州藩の密貿易という違法行為を行うために、坂本龍馬亀山社中の存在が可能になったのである。勿論、違法行為者も六法全書を学ぶ権利はある。しかし、公然と通商条約違反を行っている人物が得意気に万国公法を云々したとなると、最早、ブラックユーモアに近い。今日、彼らを民族の英雄のように賛美する向きがあるが、これは現代日本人のコンプライアンス法令遵守精神)欠如を物語るように思われる。』
『我が国最初の商社活動ともてはやされる亀山社中の商売は、混迷する幕末政局の中で反政府集団に最新鋭武器を売り込み、日本人同士が殺し合う内戦で使用される高性能小銃等の密貿易で高利潤を貪るものだった。』
『イギリスの伝統的植民地政策は、「相手側の民族対立・宗教対立等の国内的軋轢に乗じて、その一方を支援して分割統治を行い、植民地として支配する」というものだった。植民地が独立した後でも国内に内紛があれば、イギリスは反政府勢力を支援し政権転覆後に親英政権をつくってイギリスの影響力を再度強めようとした。建国後間もないアメリカですら、その対象となりかけた。しかし、イギリスのこの伝統的お家芸は元植民地アメリカには通用しなかった。北部=アメリカ合衆国は足腰の強い国として自立したからである。こうして南北戦争への介入に失敗し、アメリカに「真の独立=第二の独立」を許したイギリス外務省が、「アメリカが駄目なら日本があるさ」と考え、北アメリカ大陸での失地を日本で取り返そうと、反政府勢力の長州藩を支援して徳川幕府に辛く当たるようになったのだ』←パーマストン
『フランスは貴婦人の為の絹織物工業という平和産業に必要な原料生糸を我が国から輸入しようとし、イギリスは我が国へ人殺しの道具である武器を輸出しようとした』
『周知の通り、生糸の生産地は信濃(長野)上野(群馬)陸奥(福島)とはじめとする東日本である。これらはいずれも譜代の諸般が盤踞する、徳川幕府のお膝元だった』
『本書は、国際的孤立からの脱却を急務とした若いアメリカが初めて得た数少ない友好政権である徳川幕府が、アメリカの大仰で大味で繊細を欠く外交の結果、イギリスの支援を受けた国内反政府勢力の跳梁によって倒れ行く物語である』