王妃は聡明さゆえに恐れられた

朝鮮王妃殺害と日本人 金文子 読みました
日清戦争終結講和条約遼東半島割譲への露独仏干渉→電信線朝鮮返還論→閔妃と露との接近を恐れた
『明成皇后殺害事件は、日清戦争の講和が成立し、三国干渉が起こった後も、朝鮮における電信線を日本の手に確保するため、引き続き日本軍の駐兵を望む日本政府と大本営の意を受けた全権公使三浦梧桜が、その障害となる王妃―ロシアと結んで日本に対抗する姿勢を見せていた王妃―を除去し、親日政権の確立をめざして、京城守備隊という日本の軍隊を使って引き起こした謀略事件である。謀略事件たるゆえんは、「訓練隊」という日本人仕官が訓練する朝鮮軍が大院君を擁して起こしたクーデターを装った点にある』
『三浦の企てた謀略は、王妃殺害の目的は果たしたものの、日本人の関与を隠す点において大きく破綻した。王妃を殺害された朝鮮国側から見て、この謀略事件を破綻させた第一の功績は、大君院に帰せられるであろう』
『このような情報操作に熱中したひとりに、日本人が尊敬してやまない福沢諭吉がいたことは、忘れてはならないだろう。福沢は事件後、日本を批難するアメリカの世論をなだめるために慶応義塾関係者三人に、王妃が在世中に「惨虐なる陰謀」と逞しくしていたという物語を、英語版「朝鮮王妃伝」に仕立てさせ、「ニューヨーク・ヘラルド」の記者に渡すことまでやっていた』