努力することが尊ばれないから

日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか 児童精神科医の現場報告 古荘純一 読みました
『ある研究報告によれば、障害のある子どもは、育てにくさのために、親から虐待を受けやすいが、特に虐待を受けやすいのは、知的障害や肢体不自由の子どもではなく、いわゆる軽度発達障害の子どもである、ということです。知的および運動能力に問題のない障害に気付き、理解することは、養育者であっても容易ではありません』
『小学校に通うようになると、想像上の人物、物体や自然現象への恐怖感はなくなってきますが、今度は人間関係のさまざまな場面で、緊張というよりは恐怖を感じるようになります』
人格障害の人の中には、自尊感情が高いまま、変化しない人が存在するかもしれません。自信をずっと持ち続けており、悪いことは他人のせいにし、「自分は絶対に正しい、否定されることはない」という信念を持つため、こういった人とは議論にならないこともあります。しかし、その人の意見を否定することは無意味です。このような人の場合、周囲の人にさまざまな影響を及ぼしますが、振り回されることなく精神的には距離をおかなければなりません。あまり親密でなければお付き合いはほどほど程度にできるのですが、身近な人間の場合は大変です』
『国際的に通用する、意欲の高い青少年の育成は重要な課題です。しかしわが国の現状では、大多数のこどもたちは、小学校在学中にすでに、自分の限界を悟っているように思います。挑戦する気のない子ども達は、地元での就職を希望し、親と同じライフスタイルでよいと思っていますが、地方が疲弊している現在、地元で就職できないことも多々あります。やむなく都市に出て行っても。そこでは学力や学歴やコネがないと最低限の暮らしもままなりません』
『しかし恵まれた環境にいる優秀な子ども達においても、やはり自尊感情は高くないのです』