国益を損ねている

世襲議員のからくり 上杉隆 読みました
世襲議員の多くは、東京のエスカレーター式の学校に通って、受験勉強という競争を避けて育っている。彼らには地方で育った経験がなく、選挙時にだけ地元に「出張」するという優雅な選挙態勢を敷くことが可能だ。しかも東京での生活も、国会議員の親との同居ということから、比較的裕福な場合が多い。下町の団地住まい、両親共働き、自信もアルバイトしながら苦学して社会に出たなどという層は皆無だ。とくに現在の自民党には、菅義偉などの一部を除いて、そうした議員はほとんど存在しないといっても過言ではない』
郵政民営化に反対でした、と言えば、これまでなら笑いが起きるところでしょう。ところが、総理の発言とあってはそうはいかない。みんなが理解してくれるだろうと思ってしまうところが彼らしい。まったく昔と変わらないですね』
『藤本と話すとき、麻生は国民を「愚民」と呼ぶこともある。昔、初めて出た選挙で演説したとき、麻生は「下々の皆さん」と呼びかけてしまった。その頃と意識は変わっていないのだ。だからこそ、世襲政治家たちの振る舞いには、無自覚のうちに、国民を「衆愚」する臭いが宿るのだろう。逆に、その「衆愚」から見下されたとき、初めて彼らは、その軟弱さを露呈する。ここに世襲政治家たちの限界があるのだ。』
『「悪いけどあの件について書くのなら、今後は一切取材に協力できないから」「あんた、本当に永田町全部を敵に回すよ」』
『収録中、野中広務鈴木宗男、石井一、平沢勝栄らのたたきあげの代表格のような政治家たちと、世襲議員の弊害について意見を一にし、誰もが厳しい考えを表明していた。ところが、筆者が、政治資金管理団体の相続について触れると、途端に反応が鈍くなる。不思議に思っていたところ、休憩中に疑問が氷解した。たたきあげの象徴と思われていた彼らもまた、地方政治家の父を持っていたり、あるいは、子供への「世襲」を準備している最中だったのだ』
『つまり、父の小渕元首相が「旧研究会」に預けていた「遺産」は、国際政治経済研究会」を経由して、娘の「新研究会」に相続されたのだ』
小渕優子は、政治団体を経由させて、父から1億2000万円を無税で相続したことになる』
『小渕家のケースが珍しいわけでも、特殊なわけでも無い。法的になんら問題はなく、ほとんどの二世政治家が実際に行っている「遺産相続」の一手法に過ぎない』