一週間に一人の割合で、日本のどこかで子供が虐待されて死んでいます

ルポ児童虐待 朝日新聞大坂本社編集局 読みました
『「両親からの度重なる虐待を、被告は心と体を切り離す「解離」という手段を使って切り抜け、生き延びて来た。これらの外傷体験は意識の外に保存されることになった」過去のつらい記憶は整理されないまま心の奥底に封じ込められた。ところが封印したはずの記憶が突然、育児中によみがえり、無意識のうちに洋子さんをパニックに陥れた』
『主な加害者の6割以上が実母だった』
『虐待を受けながら、その事実を認めようとしない子もいる。「頼れるのは親しかいないし、本当のことを言うともっとひどい虐待を受けるかもしれない、という不安もあるのだろう」と虐待専従班の一人は言う』
『親元に帰った後、再び虐待に遭うケースは少なく無い。子供はそのたびに、深く傷ついていく』
『カオリちゃんは自分の思いを伝えるのが苦手だ。突然、叩いたり怒り口調になったりする。「甘えたいはずなのに、本人もどうしていいか分らないのでは」』
『虐待を受けると「自分は必要のない人間では」と落ち込む子がいる。親を遠ざける気持ちと慕う気持ちが交錯し、混乱する子もいる。心の揺れは問題行動として表れることもある』
『わざと叱られて大人とかかわりを持とうとしている』
『「違うんです。順序が逆。虐待された子供だからこそ、そういう態度をとってしまうんです。」反抗することで周りの大人がどこまで自分を受け入れてくれるかを推し量る「試し行動」と呼ばれる心理』
『自分が親からされたのと同じことを他の人にしてしまうんです』
『虐待された過去を自分から切り離したいという無意識の思いが別の人格をつくりあげていた。このまま事実から目を背けていると、フラッシュバックなどに襲われ続ける恐れがあった』
『相談所がこんなに困っているのに社会はあえて無視している。特に裁判所は問題だ。児童虐待事件の刑事裁判資料を集めて調べたが、裁判官は親を罰することしか考えていない。なぜ虐待を止められなかったか、どうすれば子供を救えたか。関心を持って調べれば、親には虐待を止める力はなかった、疲弊している相談所にも力がなかったことに気付くはずだ。判決の中味を濃くしないと司法の社会的な意義が無い』