うつ病の拡散から司法精神科医の課題まで

精神科医の本音トークがきける本 香山リカ 岡崎伸郎 読みました
『「じゃあまずはお仕事をお休みになった方がいいと思いますよ、休養が必要です。」とマニュアル通りに対応しようとすると、患者さんの方から「もう会社は辞めてきましたから」とか「ずっとやすんでいますから」と言われて拍子抜けしちゃうのです。つまり私の方に、メランコリー親和性だからこを鬱病になるどうという、ある種の思い込みがあるのです』
『「自分の長所や短所を書いてください」と言って、待ち時間の間に書いてもらうことにしています。すると必ずと言っていいほど、「他人に気を遣い過ぎるところがある」「人に優し過ぎるとこがある」と書いてあるのです。でも、その後いろいろ話を聞くにつけ、逆ではないかと思うことが多いのです』
『しばらくは、そういう芝居をそれこそ演劇的に、もう大袈裟なくらいにやって、ピークの時に「もう、このくらいでいいじゃないの、もうこんなことやめようよ」という感じで言うのです。その時に、凄く気をつけなければいけないのは、「あなたはこんなところで、こんなことをしている人ではない」と諭しながら、その人の優越感なり、特権意識を刺激することではないかと思います。「あなたはこんな病院に来て。こんなつまらない精神科医と時間を無駄に過ごして。くすぶっているような人ではない。もうこんなこと止めましょう」というと、憑き物が落ちたみたいに意外に素直に応じてくれるケースがあるのです』
『性犯罪を繰り返す傾向のある人の情報を一定範囲で追いかけていくという制度が最近出て来て、これも賛否両論ありますけども、医療観察法には今のところそこまで露骨なのはないです。ないですが、重大犯罪を起こして不起訴とか無罪になった人が地域に住むようになるんですから、その地域の人々にも理解してもらわなければという話になるわけですよ。それと個人情報の保護とをどうやって両立させるのか。』
統合失調症で入院歴がりというだけで心神喪失とか心神耗弱というのではなくて、あくまでも事件を起こしたときにどういう状態だったかで判断するということですね。統合失調症の人だって、症状が落ち着いているいわゆる寛解状態で、地域で普通に生活している中で何かやったときには、普通に刑事責任を問われますよということです。そういう事情にもっと目を向けて欲しい気がしますね』