貧困 資本主義の歪み

勝間和代の日本を変えよう 勝間和代 読みました
『30過ぎると、体力も落ちてきちゃうし、肉体労働が多いので、身体を壊して仕事を減らすと、時給制なのでどんどん年収も下がっていく。そして、一度クビになると次の仕事を探すのが難しくなる。つまり、20代が生涯において年収マックスの状態になっちゃうわけですよ。それで本当に身体を壊したり、鬱病になってしまったりすると、そのまま働けない。働けなくなった瞬間から収入が途絶えるので、この10年くらいなんとか持ちこたえてきた人達が、家賃滞納して、この2、3年で目に見えて路上生活化してきました』
『年配の、とくに男性の方に多いのですが、若者にこういう厳しい状況があると話すと、たまに怒り出す人がいるんです。それは自己責任じゃないか、自分のせいだけそうなっているんだ、と。自分だってこんなに頑張っているんだと自分の苦労話になって。こんな俺を認めてくれ、という自分の承認欲求として、若い貧困層をバッシングするという構造が見える時があります。』
『わたしの周りの派遣社員から正社員になった女性なんかも、ものすごいフリーターバッシングをするんです。自分はこんなに派遣でセクハラとかひどい目にあっても、なんとかギリギリでしがみついてやって正社員になれたんだ、と。貧しいフリーターに同情すると、自分の努力が打ち消されることになってしまうような。すごく精神的にかき乱されるんですよ。』
『資本主義がなぜ、20世紀を通じた共産主義の挑戦に対して生き残ったかというと、資本主義が共産主義にくらべてすべての面で優れているわけではないにしろ、1つの重要な長所があったことが大きかったと思います。それは、努力をすれば、その努力の分量に応じて、努力した個人が、金銭や生き甲斐や階級移動などの面で報われる、というインセンティブ体系と作ることができたということです。』
オバマが「自分を黒人と意識していますか」という記者からの質問に対し、「私が手を挙げてもタクシーが止まらないので、いつも自分を黒人だと意識します」と答えたのが印象的でした』
『一次生産品、例えば石油とかダイヤモンドとかが出てしまう国というのは、それの利権争いに走ってしまって、それ以外の産業が成り立ちにくいという実証実験もあります。この視点から考えると、日本はたまたま、水に囲まれ、たまたま温和な気候で、風土病もなく、そして天然資源がなかったことまでが幸いして、発展すべき地政学的条件をもっていたのです。』
『20世紀の高度成長は、原油を燃やし続け、自然を破壊し続けた上で得られた成長でした。あるいは、人口爆発による成長でした。このような方式の成長は長期継続的ではなかったというのが、21世紀を生きる私達の反省点であるはずです。』