チマチマ雑居空間にみなぎる多国籍パワー

オオクボ都市の力 多文化空間のダイナミズム 稲葉佳子 読みました
『戦後の大久保は、いろいろな用途の建物が雑居する不思議なまちを形成した。おまけに江戸時代からまちの骨格は変わっていないので、結果的にチマチマ空間のまちを構成していた。そこに歌舞伎町やら日本語学校やらの影響もあり、外国人が集住し、自分たちでスモールビジネスをはじめるようになった。チマチマ雑居空間のまちにはニューカマーが入り込める隙間がたくさんあった。日本の他のまちと同じように、大久保にもバブルがあり、不動産不況があり、商店主の高齢化と後継者不足が襲ってきた。一方、日本中が「失われた10年」などといっている間に、ニューカマーの人たちは、したたかにスモールビジネスを発展・成長させてきた』
『オオクボは、外国人が自らの夢の実現に向けて、はじめの一歩を踏み出すまちである。彼ら・彼女らが、必死で資金を蓄え最初の店を開くまちだ。それだけに店内にはいると、商売に対する一生懸命さがひしひしと伝わってくる。誰もがチャンスを狙っているこのまちで成功者になっていくには、それなりの才覚と努力が必要だ。だからオオクボを訪れた人達は、生活感やエネルギー溢れるまちだと感じるのだろう』