14歳からの世界金融危機 池上彰 読みました

『1929年の世界恐慌の際には、景気の悪い状態が長引き、人心は荒廃。国家間の関係も悪化して、遂には第二次世界大戦に突入しました。戦争を起こしたことで、世界は恐慌から脱しました。大量の武器弾薬を製造し、破壊された都市を再建するために大規模な公共事業が必要になったからです。とてつもない「無駄遣い」をすることで、やっと恐慌を克服したのです。』
アメリカはそうではありません。担保を取り上げられたら、それでおしまい。そこで借金はなくなります。ローンを返せなくなったら家を取り上げてそれでおしまいという仕組みなのです。これを専門用語で「ノンリコース(非遡及)ローン」といいます。』
『債権を買った投資銀行というのは、日本には存在しないタイプの会社です。一般の銀行と証券会社の中間の存在です。日本にはないタイプの会社ですから、リーマン・ブラザーズなどは日本では証券会社と訳します。』
『株式市場で儲からなくなると、次に目をつけたのが、石油。原油先物市場だったのです。』
ブッシュ大統領は、テキサスの石油業界の利益代表として大統領選挙に出馬した人です。自分を支援してくれている業界をもうけさせたのです』
『家畜のエサ代が上昇すると、牛肉や豚肉、鶏肉の値段もあがります。エタノールブームによって、2007年のアメリカのトウモロコシ生産農家は、空前の利益を上げました。北米のトウモロコシ農家の多くは中西部に住んでいます。ここは共和党の地盤。共和党ブッシュ大統領は、共和党の支持基盤に利益が行くようにしたのです。』
『自動車本体の売り上げが落ちると、多数の部品メーカーが影響を受けます。自動車メーカーの苦境は、産業界全体の苦境に発展するのです。』
『大手企業がお金を借りに来るようになれば、地方銀行にしてみれば、地元にある中小企業にお金を貸すよりは、東京に本社のある大手企業にお金を貸したほうがいいということになるでしょう。結果的に、これからは地方の銀行が地元の会社にお金を貸してくれなくなる可能性があります。そういう悪循環がこれから起きる可能性があるということなのですね。』
大恐慌が起きてアメリカ経済が深刻な不況になっても、フーバー大統領は何もしなかったのです。つぶれるべきところはつぶれてもしょうがないという態度でした。このために大不況になり、多くのアメリカ人が貧しくなりました。かくしてフーバー大統領は史上最低の大統領と呼ばれ、共和党の人気も落ち、次の選挙で民主党ルーズベルト大統領が当選しました。民主党は、景気が悪くなったら国が借金をしてでも、経済をよくしなければいけないという考え方でした。「共和党はダメだ、民主党に」となったわけです。あのときと全く同じことが2008年に起きました。ブッシュ大統領は、「第二のフーバー」と呼ばれ、史上最低の大統領」とも呼ばれています。「フーバーを上回った」のですね。』
『確かに円高で輸出産業は困っています。ところが輸入産業は大喜び。景気が悪い業界は、「景気が悪い。なんとかしてくれ」と大声を上げますが、景気のいい業界は、口をつぐんでいます。円安が続いた時、自動車産業は空前の利益を上げましたが、「いやぁ。もうかって、もうかって」とは言いませんでしたよね。それが、円高になると、「大変だ」と言い出します。』
『日本国内で生活しているとわからないのですが、円高になったことによって、わたしたちは相対的に大変な金持ちになったのです。』
『1929年から始まった世界恐慌では、各国が、自分の国の経済を守ることばかり考え、輸入品に関税をかけたことで、貿易が縮小し、世界経済は一段と悪化しました。』
『自分に投資をするのが、将来のリターンが一番確実だということなのです。』