自意識過剰の姥カワ地獄

「イタい女」の作られ方 中村うさぎ 読みました
『女子高で上手くやっていくためには、決して美しさや賢さやモテや家柄や才能や、その他ありとあらゆる「自分の武器」をひけらかしてはならない。他人より突出した部分がどうしても前面に出てくる場合(たとえば合コンで心ならずもモテてしまったとか、中間テストでうっかり一位をとってしまったとか)に遭遇したらなら、別の部分でその突出を相殺し、周囲を安心させなくてはならない。』
『若くて美しいけれど身分の低い娘が玉の輿に乗るというストーリーだが、その際に彼女が身に着けたのは、己の若さと美しさを隠蔽し、あえて醜い老婆の姿に変身する「姥皮」という魔法のアイテムであった。一方、欧米の民話において、同じように若く美しいけれども身分の低い娘が玉の輿に乗るストーリーで有名なのは、何といっても「シンデレラ」だろう。ところがコチラは醜い老婆に変身するのではなく、妖精の魔法によって分不相応なドレスと馬車と御者を与えられ、これ以上ないほど底上げされた状態で王子様のハートをつかむのである。』
『「社会的成功」に関しては、男女ともに「オタク産業で成功する」という道が存在するので、オタクを究めれば付随的に「社会的成功」がついてくる場合もあるが、「恋愛市場」においてはオタク男もオタク女の基本的に「勝ち組になれない人々」である。とはいえ、「負け組」にも分類し難いのは、本人たちが自らの意志で降りてしまっているからだ。「生身の人間より、二次元の人間が好き」などと言われてしまうと、たとえ彼ら彼女らが現実生活でモテなくても、「べつに本人がそれで満足ならば、いいでしょう」ということになる。オタクたちはリアル世界の熾烈な恋愛競争から抜け出すことで「イタさ」から免れている人々である。』