現代の「新大陸」に潜む莫大なビジネスチャンス

アフリカ 動きだす9億人市場 ヴィジャイ・マハジャン 読みました
『ナイジェリアでの長年にわたる販売と巧妙な広告により、ナイジェリア人の多くはギネスがアイルランドのブランドであるとすら思っていない。ずっと昔からビールといえばギネスだったため、国産品だと思われているのだ。アイルランドのビールがアフリカのビールになり、そのブランドの今後の成長はアイルランド国内よりむしろアフリカ大陸における販売拡大にかかっている。世界は間違いなく変化しつつあるのだ。』
『自国にいくらでも市場機会はあるのに。なぜインドと中国の企業はアフリカに進出するのだろうか。彼らはすでに同じ経験をしてきたからこそ、アフリカにおける機会に気づいているのだ。』
『先進国の視点では、アフリカでの携帯電話の成功が持つ意味を見落としがちだ。というのも、欧米において携帯電話は必需品というよりはむしろ目新しい商品であり、ビジネスツールだった。消費者はすでに固定電話を持っていたからだ。アフリカなど多くの発展途上地域では、携帯電話こそが初めて手に入れるインフラであり、零細企業に事業基盤を与え、地方と世界をつなぎ、知識を広める道具となる。』
『雇い主が必要に応じて連絡できるよう、運転手に携帯電話を持たせるかもしれない。メイドは衣服や携帯電話を与えられ、場合によっては教育費や医療費も雇い主に払ってもらえるかもしれない。そうなると、こうした従業員の持つ資産は、数字に表れるよりも大きい場合があるということになる。企業は、家事使用人が利用する商品やサービスについて雇い主に対してマーケティングを行うことも考えるべきなのだ。』
『衛星信号の侵害行為は、大きな問題かもしれないし、大きな機会かもしれない、一方では衛星プロバイダが契約料収入を取れず、多額の損失を出していることになるが、これには侵害者が実際に正規の視聴者となったとすれば、という前提が伴う。また一方では、こうした違法な視聴者がいるということは、公式なデータよりもはるかに多くの視聴者への宣伝効果が期待できるということにもなる。』
『マーズ社のチョコバー「ギャラクシー」を売るため、サイヤドはスーパーから小さな売店まで、エジプト中の四万店舗への流通経路を考える必要に迫られた。冷蔵保存を要するチョコレートは特に難物で、一番の得意先小売店には冷蔵庫を提供しなければならなかった。ところが店主の多くは電気代節約のため、夜になると冷蔵庫の電源を切ってしまう。また競合製品や、中には鮮魚まで入れてしまう者もいた。サイヤドによれば、流通における難題は「市場が成熟していないこと」だった。』
『特に大きな課題は二つある。まず、援助により、被援助者は変化を促進する積極的な活動者ではなく、被害者という枠にはめられてしまう。次に、大陸への援助を呼びかけることで、アフリカの負の側面に対する世界の印象を強くしてしまう。世界が病気や栄養失調、汚職といった問題に注目すればするほど、大陸のイメージはどんどん損なわれていくのだ。』