若者、学校、社会をつなぐ

教育の職業的意義 本田由紀 読みました
『この研究では、生徒が将来就きたい職業の中で、人気が高く(attractive)、希少で(scarce)、学歴不問の(uncredentialized)、職業を、各語の頭文字をとってASUC職業と呼んでいる。具体的には、俳優、ダンサー、ミュージシャン、デザイナー、作家、画家、プロスポーツ選手、マンガ家、メイクアップアーティスト、ゲームプログラマー、カメラマン、トリマーなどである。上記の「改革実施学科・コース」の中でも、とくに入学難易度が中以下に位置する高校の生徒は、他タイプと比べてこうしたASUC職業を志望する比率が高い。また、「趣味・好きなことをいかせる仕事につく」ことを希望している生徒は、多くがASUC職業を志望している。この結果について荒川は、「好きなもの」にこだわって自己実現をしたいという意識がASUC職業への希望を生み出しているが、ASUC職業に就ける確率は実際はきわめて低いため「いざその職業に就けず、他の職業に就こうとしたとき、何の学歴も資格もなく、職を得るのが難しくなってしまうという恐ろしさが潜んでいる」と述べている。「キャリア教育」が目的とする、自分の関心の明確化とそれに基づく将来選択は、このように大きなリスクを含む「夢追い型」進路志望をもたらしてしまうおそれがあることを、この研究結果は示している。』
『正社員の年功賃金カーブも、近年になるほど平らになりはじめており、賃金が上がらないため残業代で補おうとすることも、過重労働・長時間労働に拍車がかかる一因となるという悪循環が生じている』