不確実性とリスクの本質

ブラック・スワン ナシーム・ニコラス・タレブ 読みました 1800
『歯医者やコンサルタント、マッサージ師なんかの仕事は、稼ぎが何倍にも拡張できたりはしない。一定の時間で面倒を見られる患者やお客の数には限りがあるからだ。売春婦なら時間決めで仕事をして、だいたいは時間決めでお金をもらう。さらに、サービスを提供するとき、察するにそこにいないといけない。ステキなレストランを開いたとしても、フランチャイズ制にでもしない限りよくても四六時中満席が関の山だろう。そういう仕事では、どれだけ稼ごうと収入は重力に縛られる。収入は、いい判断をするかどうかより、一生懸命にがんばり続けられるかで決まる。さらに、この手の仕事では先がだいたい読める。先行きはさまざまだろうが、一日の稼ぎが一生の稼ぎの大きな部分を占めるなんてことはまず起こらない。』
J・K・ローリングは、誰かがハリー・ポッターを読みたいと言うたびに改めて本を書いたりはしない。でも、パン屋さんだと話は違ってくる。お客が一人来るたびに、パン屋さんは改めてパンを焼かないといけない。だから、作家とパン屋さん、投機家とお医者さん、サギ師と売春婦の違いを考えると、いろいろな営みがわかりやすくなる。世の中の仕事は、仕事量を増やさなくても稼ぎを何桁も増やせる仕事と、仕事量と仕事時間(どちらも供給には限りがある)を増やさないと稼ぎが増えない仕事、つまり重力に縛られた仕事に分けられるのだ。』