女の自意識は、それ自体、病である。そして、女の病気は女にしか分か

女という病 中村うさぎ 読みました 1300
『最初に礼子が口にした「華麗なる芸術家の血筋」は、間違いなく晋也を意識したものであった。というのも、晋也自身が「選ばれしエリートの血筋」だったからである。一族は皆、高学歴。いわゆるインテリの家系だ。その「インテリ」に対抗できるのは、おそらく芸術家だけだと、礼子は感じたのではないか。実際、プライドの高いインテリも、芸術家だけにはリスペクトの念を持つ傾向にある。礼子は「東京芸大卒」と名乗った。それは国立大出身の晋也に比肩し、なおかつ芸術という切り札でインテリの彼の気を惹こうという、彼女の作戦だったとも考えられる。』
志摩子さんの気持ちはよくわかる。自分の実力が買いかぶられて、分不相応の席をあてがわれているのではないか、という不安。と同時に、自分の才能や実力が正当に評価されず、本来はファーストクラスに乗れる身分であるはずなのにエコノミークラスに座らされている、という不満に、日々、苛まれている人々もこの世にはいて、私はその人達の気持ちも痛いほどわかるのだ。』