女王様の流浪の旅は続くよどこまでも

さすらいの女王 中村うさぎ 読みました 1286
『医者の話によると、最近は子宮摘出で女を喪失すると感じる人は少ないが、乳癌などで乳房を失うケースのほうが女の喪失感に悩む人が多いそうです。子宮の象徴する母性より、乳房の象徴する女性性のほうが重要になってるんですね』
『別にクレームつけるつもりは毛頭なかったのに、診察室で事情を話した途端、医者が三人も出てきて「救急医療の基本は応急処置である。よって当方の医療ミスではない」と、妙に高圧的に諭された。誰も「医療ミス」だなんて言ってないのに。ただ、「こないだ縫ってもらった指が動かないんですけど」と言っただけなのに。医者って責任取るのが怖いんだなぁ、と、その時にしみじみ思いましたよ。』
『「図書館に行くと、本がたくさん並んでいるでしょう? その本の一冊一冊が、遺伝子に書き込まれたデータだと想像してください。でも、そこに並んでいるだけで誰も引っ張り出して読まなければ、本に書き込まれた情報は活用されませんよね?」』
『女たちの競い合いとは、たとえば、どちらが魅力的か、どちらが男にモテるか、どちらが幸せか、どちらの生き方が素晴らしいか、といったような、ある意味、客観的判断基準の曖昧な部分で戦っているので、これは非常に答えの出にくいゲームであり、したがって、はっきりした勝敗が決まらないまま、最後には「でも、女として共感できる部分は、お互いにあるよねぇ」みたいなオチで心の繋がりを確認することが多いのである。つまり、白黒つかないことが重要なのよ、女の世界では。白黒ついちゃうと、友達でいられなくなるから。』