匠の呪縛が日本を衰退させる 

ものつくり敗戦 木村英紀 読みました 850
『日本は数学を受験しないで大学に入学出来る、世界でも珍しい国である』
『この遅れの背景には、労働集約型技術と資本集約型技術の相違がある。イギリスやアメリカでは産業革命以後の発達した工業力を支える労働力が慢性的に不足していただけでなく、制度のよい加工が出来る熟練工が不足していた。このことが規格化への強い圧力になり、同時に規格化を達成する工作機械の発達を促した。熟練工の層が厚く、熟練が安く簡単に手に入った日本では、工作機械の発達が英米に比べて遅れた。』
『インターネットの思想、すなわち公衆回線で計算機同士をつなごうとする発想が生まれた1950年代末は計算機の黎明期であり、計算機を通信端末として使うことはコストの面からも技術的にも非現実的あるいはむしろ空想的に近いことであった。にもかかわらずその可能性を徹底的に追求することが出来たのは、軍事という至上命令によってコストを度外視出来たからである。』
『労働集約型が根強く残った日本の技術は大量生産、大量消費の実現に後れをとり、それが太平洋戦争における兵器の質的格差を引き起こした。戦時技術の開発における日本の技術の開発体制の構造的な欠陥は、現代にも尾をひいている』