女としての価値を確かめるため、私はデリヘル嬢になってみた

私という病 中村うさぎ 読みました 1200
『「いつ辞めるかという目標を、今のうちから自分で決めといたほうがいいよ。たとえばお金なら、いくら貯まった時点で辞めようとか。それとも、半年だけにしようとか、期間で決めてもいいしね。とにかく、そうやって辞めるべき区切りを設定しないと、ずるずると続けちゃって、五十の声を聞いても辞められない羽目になる。そんなデリヘル嬢がいっぱいいるんだ。そうなったら地獄だよ」
「どうして辞められなくなるんですか?」
ラクだからだよ。今は嫌だと思っているだろうけど、慣れればラクなんだ、この仕事は」』
『「そんなの作家の仕事じゃないよ。体験レポーターの仕事だろ」とコメントしたが、そんなら私はべつに「作家」じゃなくてもいい。体験レポーターで、一向に構わない。だって「実体験主義」だもん。今後、皆さんも、私を「作家」と思ってくださらなくて結構です。「作家は、こうあるべし」みたいなものを押し付けられることのほうが、私にとっては重荷だから』
『私のデリヘル体験を新聞で読んだ途端に、彼の中の私は「作家」から「デリヘルをやった女」に一気に格下げされ、それゆえ、これまでは「礼儀正しく振舞うべき相手」であった私がいきなり「馴れ馴れしい態度を取ってもいい(しかも、身体を触ることすら許される)相手」となったのであろう。そう、それは彼の中では「格下げ」であったはずだ。彼の馴れ馴れしさから伝わってくる、あの独特な不快さは、まさに彼が私を「見下ろしてる」感じからくる不快さなのである。』
『仕事に性的な関係を持ち込むヤツらを軽蔑しつつも、そんなヤツらから貰った仕事で食っている自分にも嫌気がさし、ひたすら「女であること」を呪う毎日だった。』