雨宮処凛流・地球の歩き方

戦場へ行こう 雨宮処凛 読みました
『「アメリカに洗脳されているだけじゃない。日本人はお金の奴隷でもあります。お金のためだけに働いて人間的じゃない生活をしいられていて本当に可哀想です。日本人にはお金という価値観しかありません。我が国では、お金は目的ではなく手段です。我々共和国の人間はお金のためじゃなく生き甲斐のために働いています。それこそが人間らしい生き方だとは思いませんか」
北朝鮮の人に思わぬところで「可哀想」と言われたことに驚きながらも私は「はぁ・・・」と頷いていた。でも、生き甲斐のために働くどころか北朝鮮では餓死者が一杯出てるんじゃ・・・。そう反論しようとすると、彼は得意気に言ったのだった。
「確かに我が国は今厳しい状態です。しかし、苦しい時だからこそみんなで助け合おうという意識が強くなりました。この間、みんなが食糧不足で麦を食べている時期に一人だけ米を食べた労働党幹部が公開処刑されました」
だから我が国は平等で素晴らしい、ということらしい。北朝鮮ではその話はなぜか「美談」として語られている。』
『「金(キム)の奴隷に 金(カネ)の奴隷と 言われけり」思わずそんなどうでもいい一句まで詠んでしまうほどに衝撃を受けたのだった』
『結局、民主化や貧富の差をなくすなんて言っても、そういうことを出来るのは中流以上の人間で自分だってそうだ。。本当に貧しい人はそんなことも出来ない。自分はある程度金持ちだから出来るんだ』
『こっち帰ってきて、逆カルチャーショックでしたね。日本だって充分おかしい。少なくとも夜出かけたり荷物持って普通に歩けるっていいなと思ってたら、友人が一年前に亡くなった人と同じやり方で亡くなって。そうしたらもう一人、イラクに行ってる間に亡くなってたことがわかって。それで、その子が後追いだったってことがわかって。そうだよな、日本にはコレ(自殺)があった、って思って・・・。だから向こうが平和じゃなくて、こっちが平和だってことは無いと思うんですよ。だって向こうの方が分りやすいもん。向こうで自殺するくらいだったら、そのくらいの心理状態だったら襲撃するでしょ』
『日本では、年間3万人の人が自ら命を断っている。その「死ぬ覚悟」満々の日本人三万人が揃ってイラクに行けば、戦争を止められるのではないかと無謀なことを考えたのだ。』