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発達障害に気づかない大人たち 星野仁彦 読みました 780
発達障害者の脳は快感を感じる「報酬系」という脳神経系に問題があり、常に「快感の欠乏状態」に陥っているため、快感を求めて依存症や嗜癖行動に走りやすいのではないか』
チンパンジーなどの霊長類を用いた動物実験では、この前頭葉が損傷を受けると、ADHDと同じように、自分の行動や注意集中力、衝動性が制御できなくなり、イライラして落ち着かず、感情が不安定になり、衝動的で攻撃的な態度を見せるようになりました』
『親の虐待や極度のネグレクトだけで自閉症が生じ、しかも脳の萎縮まで引き起こされることがわかった』
『大人の発達障害の治療では、最初の面接時から、「あなたの抱えている問題は、あなたの性格や家庭環境などが原因で起きているのではなく、もともと脳の発達がアンバランスで、それが原因で起きていることなのだ。だから心の問題ではなく、脳の問題であり、それは適切なカウンセリングや投薬治療を受ければ、ちゃんとよくなる」ということをわかりやすく説明し、理解してもらうことが極めて重要になります』
『ただし現実には、専門医を受診する前に、すでにパートナーや家族との関係はしばしば悪化しており、職場でも失敗を繰り返して評価が低くなっていることが多いため、なかなかこうしたサポートは受けにくいのが実情です。そして理解が得られないまま治療を受けることもなく、離婚や離職に至るケースが多いのです』
『自制心を育てるのに最も有効なのは「自分は発達障害者である」と自覚することです。これに勝る良薬はありません』
『大人の発達障害者は、社会への適応レベルや職業、年収が千差万別で、人生の満足度に大きな違いがあります。たとえば、ADHDやASの人の中には社会で大活躍して尊敬を集め、高収入を得ている人もいれば、社会の落伍者となり40代になっても定職に就かないニートもおり、その境遇にはまさに天と地ほどの差があります。この差はいったいどこから来るのでしょうか? これは、一つには彼らがもともと抱える発達障害の程度や合併症の有無、程度にもよりますが、もう一つ大事な論点として、その人に合った適職に就けたかどうかという職業選択の問題を指摘しなければなりません』