一生許さないことを大切にしたい

少年犯罪被害者遺族 藤井誠二 読みました 740
『判決が出て、支払い条件をつけても破産宣告する人が出てくる。国が支払いなさいと決めた金額がある、それをなんで同じ国が破産の申立てを認めることでチャラにするのか。民事判決が紙切れになってしまう。』
『刑事裁判では手紙を受け取ると、向こうに有利になることもあります。裁判官がそれを情状酌量の材料にする、加害者側の作戦であるケースが目につきます。加害少年の弁護士が「謝罪」の手紙を書かせて、被害者に渡す前に、あるいは被害者遺族が受け取ったかどうか確認もしないで、あるいは封さえあけていないのに、さきにマスコミに公開してしまうケースも多いのです。裁判の進行を考えると、それらの確認を待っていられない。まず「謝罪」の手紙を出したのだという事実をとりもなおさず裁判所に印象づけるためにやるような、姑息な手段だと思います。本村洋さんの最高裁で被告側の弁護士がとったやり方が、まさにこれでした。いまだに本村洋さんは開封していません。』
『結局、殺人を犯している少年の50パーセントくらいは再犯者で、もし仮に最初の事件できっちり更生教育を受けて立ち直っていたら、当然この54人は再び罪を犯さなくてすんだし、新たな被害者も生まれなかったということなのです。「どうしてこの再犯を防げなかったのか」「なぜ、初犯時に不処分だったのか」と被害者は思ってしまいます。』
『フランス、ドイツ、イギリスなどの欧州各国では、被害者の私人訴追制度や訴訟参加制度、付帯私訴制度などを採用しています。つまり、国家公務員である検察官の公訴だけではなく、被害者による私訴というものも国が認めています。』
『「公開の刑事裁判になった状態でも少年を特定できる情報を報道してはいけない」とはおかしな理論だと思いました。この裁判は、裁判所が記者クラブに所属するマスコミ各社に対し、裁判の優先傍聴券を配布し、親切にも法廷の最前列に記者席を用意しています。さらにテレビで報道するために法廷の様子を描くイラストレーターまで法廷に入れて、至れり尽くせりに準備しているにもかかわらず、加害少年を特定する報道は許さないと鼻息を荒くする。だったら初めから記者席などは用意せず、報道関係者は傍聴禁止にし、裁判当日、傍聴席の抽選に外れて法廷の外で裁判の終了を呆然と待っていた遺族に、裁判を傍聴させるべきだと思います。』
『「裁判員制度になると死刑が増えるかもしれない」という懸念は、死刑廃止論者の方々が、一般国民の意識から考えれば現在の量刑は軽すぎて国民が納得していないと、自らが認めているということではないでしょうか。』