男装の王女はスパイ?愛国者?

評伝 川島芳子 男装のエトランゼ 寺尾紗穂 読みました 800
『日支ばかりは争ひの終極に愛が約束されてゐなければなりません、私ほど支名那人の中で、日本の方々に愛されてゐる者はないと自負してゐるだけに両國の親睦を願ふ心持が切迫してゐるのです、なまじ國士病に私が患つて居なかつたら、さもなければ盧原将軍であつたなら、こんな切實な気持ちもなかつたでせう、四、五年前は私もジャンダークを夢見てゐる時がありましたが今は突き詰めた気持ちが一瞬でも早く両國が手を取りあつて進んで行くことを祈つてゐるのです』
『軍統および戴笠が大きな権限を与えられた背景には、蒋介石の保身があった。蒋介石は表向きは日本との徹底抗戦を掲げながらも、裏では日本肝いりの「偽政府方面」と連絡をとり和平工作にも関わっていたために、いざ漢奸裁判となったときに、自らの過去の責任を追及されることを恐れて、そうした勘所も押さえた腹心の戴笠に一任したとも言われる』